指揮デビュー?
2008-02-22 Fri 11:34
20日の朝ダーバンに移動し、11時からオーケストラとのリハーサルがありました。前回のツアーでも共演した、クワズルナタル管弦楽団だったので、結構知っている人もいて、メンバーも気軽に声をかけてくださいました。曲はモーツァルトのコンチェルト23番。前回のツアーでお会いした南ア人ピアニスト、ライネル・ボウマンさんから彼の貴重な録音を頂き、そこにこの曲が入っていました。僕がベルリンに帰ってこの録音を聴いた日に、ボウマンさんが亡くなられ、その時から次のツアーでは絶対この曲を弾いて、ボウマンさんに捧げようと決めていました。

指揮者は、僕と同じ25歳の英国人でジュールズ・ゲイルさんという方でした。なんと彼は、ヴァイオリンと声楽が専門で、指揮はほぼ独学したそうです。でも、イギリスのバロック音楽のプロジェクトで、有名なジョン・エリオット・ガードナーさんと一緒に仕事をしたり、南米でも活動しているそうです。

持っている音楽、情熱などは良かったですが、リハーサルの進め方という点ではまだ経験が足りないようで、初日のリハーサルでは細かく止めすぎて、全楽章が終わりませんでした。シンフォニーのリハでは、途中でオケから文句が出たりもしたそうです。指揮者は自分の言いたいことを言うだけでなく、メンバーの様子を伺いつつ、リハーサルを進めていかなければならないということに、初めて気がつきました。彼もこの経験でいろいろ学んだと思います。

さて、最後のリハーサルでは、彼が突然「客席に行ってバランスを聴きたいから、洸太朗弾き振りしてて。」と僕にいきなり言ってきて、ほんの数ページですが、初めて弾き振りしちゃいました!
感想は・・・快感の一言。きっと僕のでたらめ指揮法に戸惑っていた人もいたと思いますが、皆さん一生懸命弾いてくれました。機会があれば、いつか本当に弾き振りもやってみたいです。

可笑しかったのは、翌日ホテルのロビーで先週ヨハネスバーグで共演した篠崎靖男さんにお会いしたことです!彼はこれから2週間、ここのオーケストラを振ることになっていて、丁度ダーバンに着いたところだったのです。
レイニーさんが「洸太朗も昨日指揮デビューしたのだから、私は3人の指揮者に囲まれているわ!」と興奮した様子・・・何はともあれ以下の珍しいショットが撮れました。

二人の指揮者と
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忘れがたいコンサート
2008-02-19 Tue 08:35
17日に弾いた同じヒルトンカレッジで、今度は生徒のために弾いて欲しいと言われ、一時間のトークコンサートをしました。しかし、今回は僕にとってmemorable concertならず、後味の苦いunforgettable concert=忘れがたいコンサートとなりました。

10〜16歳の男子生徒という、手強い相手だったので、南アに着いてから、プログラムとトークの内容を練っていました。僕は、ただピアノを聴いてもらうだけでなく、クラシック音楽の持つ多様なスタイル、聴き慣れたものから慣れないものまで織り交ぜて、解説つきでやりたい、という強い願望があったので、いろいろな小品を集めました。

ざっとこんな感じです↓
バッハ/主よ、人の望みの喜びよ
ハイドン/ソナタニ長調一楽章
シューマン=リスト/献呈
ドビュッシー/月の光
メシアン/鳥のスケッチから
武満/雨の樹素描
ケージ/7つの俳句
武満/ピアノ・ディスタンス
ショパン/華麗なる大ポロネーズ

ほぼ一曲ごとに作曲家、曲の背景、スタイルを解説しながら弾いたので、普段のリサイタルより神経を使ったようで、ドビュッシーあたりから意識が鈍くなっていくのを自分で感じました。英語も適当になってしまい、説明不十分な所もあったと思います。最後のピアノディスタンスの無調音楽からショパンに入った時のギャップに自分が驚き、やっと目が覚めました。(これはちょっとプログラミングのミスだったかな?苦笑)

そのあと、アンコールに僕が宇多田ヒカルさんのFirst Loveピアノソロバージョンを弾き、生徒の一人が自作の弾き語りを披露してくれて、とても盛り上がりました。

生徒たちと


問題はそのあと・・・生徒が退散し、お開きになったとき、急に僕はまた意識が薄くなり、今度は倒れそうになりました!実は、その日昼ごはんが軽いサラダだけで、本番前はプレゼンテーションのことで頭が一杯で空腹を覚えず、何も食べていなかったのです。その場には少人数の人だけが残っていたので、大騒ぎにならず良かったものの、「どうしたんだ?」と聞かれ、かすれた声で「お腹が空いて死にそうなんです!」と言った時は、本当に恥ずかしかったです。。。

これを機に、以後絶対に空腹状態で本番に臨まないことを決意しました。
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ヒルトンでの休暇
2008-02-18 Mon 22:34
演奏会の翌日(18)は一日オフだったので、リラックスして動物を観に行ったり、プールで泳いだりしました。なんとカレッジのすぐ裏が自然保護区になっていて、普通にキリンやシマウマ、鹿、イボイノシシがいたりするのです!
こういった条件もあって、この学校は南アで一番学費が高いのですが、人気も高いそうです。

子供に挨拶された!

シマウマのカップル

夜はヤクさんのお宅で、伝統的な南ア料理をご馳走になりました。コーンの粉で焼いたパン、フェタチーズ入りサラダ(これはギリシャ料理かな?)、子羊の煮込み、どれも美味しかったです。一番印象に残っているのは、最初にその場でパンを焼いて食べたことです!生地を棒の先に巻きつけ、焼きあがったものを棒からはずし、空いた穴にシロップをかけて食べるのです。名前を忘れてしまいましたが、とても面白かったです。(シロップは僕にはちょっと甘すぎましたが・・・)

皆でバーベキュー☆

南ア料理
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メモラブルコンサート
2008-02-17 Sun 22:19
16日、レイニーさんと僕はダーバンへ飛び、そこでルイさんのアシスタントのクリスティンに合流しました。演奏会の主催者でもあるヒルトンカレッジの音楽部主任のヤクさんに迎えられ、車でヒルトンに移動しました。

僕が南アについた8日の日に、日本人ツアー客を乗せたバスが転落した事件があり、これがダーバンの近くだったので、ヤクさんに聞いてみたところ、「ニュースでみたけど、死者が出なくて、彼らは運が良かったね」と、あまり気にしていないようでした。あとで調べたら、南アフリカでは交通事故は日常茶飯事のように多発しているようで、小さいのも含め、年間50万件もあるそうです!

さて、ヨハネスバーグの張り詰めた空気に少々参っていた僕は、平穏なヒルトンに来て一気に心が安らぎました。ここは自然豊かなミッドランド県の東端に位置し、ヨハネスバーグやダーバンの都会人が週末過ごすリゾート地として開拓されてきているようです。そういった人たちを対象にコンサートシリーズを始めないか、とルイさんがヒルトンカレッジに提案し、今回のコンサートが企画されました。その名も、Memorable Concert(=記憶すべきコンサート?)。

シリーズの第1回に僕が弾かせていただいたということで、僕にとっても記憶すべきコンサートとなりました。
美しいヒルトンカレッジ 
実はこれが学生寮だったりする・・・
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ヨハネスバーグの治安
2008-02-15 Fri 07:29
南アに着いてから最初の一週間は、ヨハネスバーグ郊外にあるB&Bに滞在しました。
ここのオーナーであるマイケル・ハンキンソンさんは、英国出身の元指揮者兼作曲家兼オルガン奏者で、南アでも有名な音楽家でした!

B&Bの一角に音楽スタジオを設け、そこのピアノを使わせてもらう条件で、ツアーマネージャーのルイさんはここを選んでくださったようです。それから、ヨハネスバーグという街は治安が悪いこともあり、なるべく中心地を通らないで住む場所を見つけてくださいました。

マイケルさんの話だと、「このB&Bはメインロードからセキュリティーゲートを通らないと入れず、敷地は高い塀で囲まれ、窓という窓も全て頑丈な鉄格子で保護されているので、安全だ」と言われましたが、僕には牢屋に閉じ込められた気分で、落ち着きませんでした。

ルイさんの話だと、南アの治安はここ数年悪化しているとのこと。新聞やテレビのニュースで報道される事件はほんの一部で、セキュリティが行き渡ってないことも皆承知なので、事件を目撃した人も見てみぬふりをすることもあるそうです。僕がヨハネスバーグに滞在している時にも、市内で4件の殺人事件が報道されました。(実際はもっとあったかもしれない・・・)

盗難は日常茶飯事で、殆どの白人は被害にあっているそうです。ルイさんは路上に留めておいたご自身の車を、マイケルさんは空き巣に入られ電化製品を、彼の前の奥さんはバイオリンを盗られたそうです。

そのため、家には必ず不法侵入者を感知するセンサー&アラームが付いているのですが、結構頻繁に隣家から聞こえたりして、慣れない僕は恐怖に取り付かれてしまいました。一度は泊まっているB&Bでも鳴ったのですが、それはレイニーさんが電気と間違えて非常用ボタンを押してしまったようです。でも、夜中に外でガサガサと物音がする度に、過敏に反応して目が覚め、あまり眠れませんでした。

その上、練習・本番・取材・食事の合間に、Eメールはもちろん、アルベニスのCD用プログラムノートを書いたり、武満徹レクチャーの英語版を準備しなければならず、ツアー始まって早々精神的疲労が大きかったです。でも、これからの演奏活動をしていく上で、本当に貴重な経験をしたなと思います。
(ちなみにこれを書いているのは数ヶ月経ってからです。)
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