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2007-12-27 Thu 08:21
ムソルグスキーの「展覧会の絵」にも出てくる、パリのチュイルリー公園入り口横にあるオランジュリー美術館は、数年に渡って改装工事が行われ、2006年5月に再オープンしました。4年間のパリ滞在中は、丁度改修の真っ最中でみることができず、その後も毎回パリに来るたびに機会を逃し、今回初めて観に行くことが出来ました。
楕円状の壁に広がるモネの大作『睡蓮』は、期待以上に素晴らしかったです。6月にジベルニーのモネのアトリエを訪問していたので、あの時に見た睡蓮の池の風景を頭に浮かべながら鑑賞しましたが、モネの色彩・質感の豊かさに改めて感動しました。 |
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2007-12-26 Wed 07:02
今回のパリ滞在は4日間と短かったけれど、充実していました。特に、アルメニア人ピアニストのスヴェトナーラ・ナヴァサルジャンさんに演奏を聴いていただけたのは、光栄でした。彼女は「アルメニアのアルゲリッチ」と呼ばれ、フランスでも結構活躍されています。一度レイニーさんを通じてお会いし、リサイタルにも伺ったのですが、独創性あふれる彼女の世界に引き込まれる自分がいました。“魔力”のある演奏が魅力的で、容姿も少し魔女っぽいところがあり、怖いという印象もありましたが、実は気さくでとても心の温かい人でした。そしてアドヴァイスも決して奇抜なアイデアに走らず、的確で、しかも音楽のスケールを大きく仕上げてくださいました。「心の扉を開いて音楽を包み込むように弾くこと」を言われたのが、特に印象的でした。
もしかしたら、近い将来パリ・エコールノルマルの教授を努められるかもしれないそうで、生徒を募集中だそうです。日本ではなかなか見られないタイプの方なので、これからパリに留学を考えていらっしゃる方には、一考の価値があります。 |
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2007-12-24 Mon 18:57
24日早朝北京経由でパリに発つことになっていたので、前夜に成田のホテルに泊まりました。仕事の話をする意味も兼ねて、録音会社のディレクターさんに車で送っていただいたのですが、実家を出て10分後、腕時計を忘れたことに気づき、迷った末引き返して取りに行きました。「他に忘れ物はない?パスポートはある?」と聞かれ、「大丈夫です」と言った瞬間、不安がよぎりました。不安は的中。というのは、その日の朝、免許証の書き換えで自動車試験場へ(日曜日の失効の受付はないそうで、結局はできなかった)パスポートを持参して行ったのですが、他の書類と一緒に封筒に入れたまま家に置いていたのでした。
・・・あぁ、情けない! 翌朝は無事に空港でチェックインを済ませ、北京へ飛びました。15分ぐらいの遅れがありましたが、次の飛行機が1時間半後だったので、余裕があると思いつつ降りました。入国審査で少し時間がかかり、長い道のりを早歩きしていたら、いつの間にか、手荷物受け取り所に着いてしまいました。周りの人の行く方向に合わせていたら、国際線乗り換えの入り口を見落としていたのです!すぐに係りの人に聞くと、「一度出てカウンターでチェックインしなさい」と言われました。それでも、まだ1時間弱はあるから大丈夫だと思いました。でも、北京空港はものすごく大きく、しかもチェックインカウンターに行くまでの途中に、また書類を書き込んだりしなければならず、予想以上に時間がかかってしまいました。ようやく、チェックインカウンターに着くと、また行列が・・・!なんとか前に行かせてもらい、状況を説明すると、「あなたのフライトはもうチェックイン受けつけを終了しました」とのこと。「ガーン」と大きな石で頭を殴られ、血の気が引くような気持ちでした。そこからカウンターチーフ→航空会社マネージャー→チケットセンターと回され、誰からも状況を理解してもらえず、新しくチケットを買うほか術はなくなってしまいました。 その日の夜、パリで小澤征爾さんの振るオペラを観に行きたかったのですが、一番早くて夜9時着しかなかったので、諦めることにしました。そして、正規の値段でチケットを買ったので、大損することに。。。 ・・・あぁ、本当に情けない!! |
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2007-12-09 Sun 18:30
僕の母校である国分寺市立第四小学校は、数年前に完全改築され、今では市で一番広い校舎と一番多い生徒数を持つ学校です。学校の多目的室に、新しいグランドピアノが入り、そのこけら落としで、弾かせていただきました。
1年前から、「四小の多目的室にグランドピアノを贈ろう」と、合唱団などの指導に当たっている市瀬寿子さんの呼びかけで、このホールで数回チャリティコンサートが行われ、その収益金と理解ある市民の寄付金で、この12月、とうとう立派なグランドピアノが贈られたのです。 市瀬さんから、「学校の多目的室で30分ぐらい演奏を」と頼まれていたので、きっと50人ぐらい入るところだろう、と思っていたらとんでもない!会場は思ったよりずっと立派で、人が通る場所もないほど(350人ぐらい)のお客さんが入り、熱気あふれる雰囲気でした。 僕は、最後に出演しましたが、演奏が終わると、立ち上がって歓声を上げる人もいて、とても日本で弾いているとは思えませんでした。同時に、地元の人の僕への応援の気持ちが直に伝わってきて、胸が熱くなりました。最後は、その日出演した国分寺の複数の合唱団全員によるヘンデルの『ハレルヤ』の大合唱の伴奏をさせていただき、華やかに会が締めくくられました。 僕は、文化を大切にし、また文化に携わる人を温かく応援する国分寺市民を、誇りに思いました。 |
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2007-12-08 Sat 23:28
国立駅北口にある国立楽器は、小学生の頃からよく楽譜を買いに行っていた、思い出の場所です。店の2階には150人規模のホールがあり、小学4年のピアノ発表会で弾かせていただきました。そのホールで初めてのリサイタル、しかも、小澤幹雄さん(小澤征爾さんの弟)が司会を務める「小澤幹雄のやわらかクラシック」というシリーズで弾かせていただきました。
国立楽器店は「音楽の森」とも呼ばれているので、プログラムは森・自然にちなんだ音楽を選びました。 森の情景、風景、森のささやき、オーベルマンの谷、月の光、鳥のスケッチ、雨の樹素描と来て、最後になぜかショパンのアンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ(笑)。実はこの曲、小学生低学年の時、お小遣いをためて国立楽器で楽譜を買った憧れの曲だったのです。だから「音楽の森」へのオマージュを締めくくるのに、ふさわしいかな?と・・・。 こういったエピソードの紹介も含め、小澤幹雄さんが楽しいお話でお客さんを盛り上げてくださり、ピアノの横には斉藤典子さんの美しい絵が飾られ、高名なポール・バドゥラ・スコダ先生が選定されたというベーゼンドルファーで、気持ちよく弾かせていただきました。 地元ということもあり、早くにチケットが完売し、150人収容のところを無理に180席並べてくださったそうです。皆さん、ありがとうございました! |
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2007-12-07 Fri 22:24
東京・巣鴨駅近くにある東音ホールで、「ピアノによる武満徹へのオマージュ」のプログラムを弾かせていただきました。全日本ピアノ指導者協会(通称ピティナ)の本部がその場所にあり、僕も昔コンペティションの予選やマスタークラスで、よく弾かせていただきました。
現在は、協力アーティストというしてお世話していただいていて、この度パトロネージュコンサートの第2回に出演させていただきました。日本では珍しいと思いますが、ヨーロッパでは、値段が定まっている一般のコンサートの他に、聴衆の寄付金で成り立つコンサートのようなものがあり、日本でもその形でできないか、試験的にこの企画が始まったそうです。 一般に、物の値段というのは決まっていて、貧しい人も、大金持ちも、同じ値段で買います。しかし、人の幸福感や満足感に対する代価は、お金に余裕が無い人と、有り余るほど持っている人では払う金額が違って当然だという考え方があります。満足を得るための代価として、500円なら払うという人と、1000万円でも払うという人がいるのではないかということです。 聴衆が、どれだけ感動したかによって、また自分のできる範囲で、帰り際に入場料を置いて帰るというのは、上の理論を実現する良い例とも言えるでしょう。あるいは、人によって感じ方が大きく違う音楽だからこそできることかもしれません。 この時の演奏会には、光栄にも武満徹氏の奥様とお嬢様がお見えになり、初めて僕の生演奏を聴いていただき、終演後、お話もさせていただきました。 武満氏の奥様の話によると、武満さんが戦時中、フランスシャンソンを聴いたのは、軍事基地で兵士が隠れて蓄音機を流していたのを偶然耳にしたのではなく、見習い仕官がそこで働く10代の若い学生数人を集めて、蓄音機でシャンソンを聴かせたためだそうです。その仕官には、「これから外国人と交流を持つ若い君たちにもっと世界の文化を知ってもらいたい」という気持ちがあったのではないでしょうか。武満さんは、作曲家になられてからも、行方の知れない彼にもう一度会って感謝の気持ちを伝えたいと思っていました。それが、ある時チャンスが偶然やって来てたそうです!そのお話をしながら、奥様は目に涙を浮かべていらっしゃいました。 僕も、武満さんの音楽を巡るこれまでの多くの感動体験と、それに対する感謝の気持ちをお伝えすることができて、嬉しかったです。 |
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2007-12-05 Wed 21:00
12月2日と5日の両日、都内榎坂スタジオで各2回ずつ、計4回の自主公演を行いました。
![]() 斉藤典子さんとCDジャケットの絵 今回は「武満徹ピアノ作品集」のCD発売を記念した演奏会も兼ねていましたが、CDジャケットの絵を描いて下さった斉藤典子さんの絵画とのコラボレーションということで、とても楽しみにしていました。前日の夜、斉藤さんが数点の絵を会場のロビーに取り付けるのを、両親が手伝いに行きました。単に絵を飾ると言っても、周囲との色や位置のバランス、観ていただく人の心情の移り変わりまで配慮しなければならないそうで、丁寧に吟味してくださったそうです。その甲斐あって、建物に入ってスタジオまでの空間が本当に素敵に仕上がり、僕も当日会場入りして、しばし立ち止まって鑑賞してからリハーサルしました。 コンサートの内容は9月にフランスでやったプログラムに少し曲を加え、自分なりにより充実したものを目指しました。でも、日本ではあまりに有名な武満徹氏(ここでは敢えて「氏」とつけたくなってしまう!)をテーマに、解説しながら弾くというのは、少しプレッシャーがありました。 もしかしたら専門家の方、武満さんを直接知っていらっしゃる方には、僕のやっていることが甘く映っていたかもしれません。一時間半のコンサート内で、一人の作曲家の全体像を提示することは、不可能に近いと思いますが、幾人かのお客様が「武満さんの音楽は、今まで難しいというイメージしかなかったけど、親しみが湧きました。また聴きたいです。」とおっしゃってくださり、それが僕にはとてもうれしかったです。 ![]() 曲間のトーク そして今回弾くかどうか直前まで迷っていた問題作、クセナキスの『エヴリアリ』は、結局前半だけ弾きましたが、意外にも好評で「いつか全曲弾いて下さい」とのリクエストが結構ありました。僕も弾いていくうちに、技術的に難解な所は誤魔化しながらも、いつしか快感を覚えるようになり(これじゃ自己満足!?)、先を早く勉強したくなりました。あれは、「人間の二手で弾くのは不可能だ」と認められている分、方法は無限にあり、その不可能にどう立ち向かうかで、演奏者個人のアプローチが生まれてくるんだと思います。だから、僕もまた勉強する時には、もっと時間をかけて多角的に研究してみたいです。 アンコールの『聴かせてよ、愛の言葉を』は、期待通り(*)喜んでもらえたみたいで嬉しかったです。「シャンソンアレンジを集めたコンサートをやってください」という声もありましたが、それはちょっと本業とはずれちゃうかな?というのが本音です。 *僕のアレンジはともかく音楽が良いので、という意味です。 今回学んだことを活かしつつ、今後も機会あるごとに武満徹氏について研究を重ね、演奏解釈とプレゼンテーションを高めようと思っています。そして東京以外の場所でも公演できることを夢見ています。 お越し下さった皆様、いらっしゃれなかったけれど応援して下さった皆様、茶話会の準備や事務作業を手伝って下さったスタッフの皆さん、そして全公演を会場内で聴いて下さった斉藤典子さん、本当にありがとうございました。 |
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